2014.9.08 News /

「レッドデータ」絶滅危惧分類見直し 県検討、生息変化に対応

 山梨県は7日までに、ライチョウやキタダケソウなど、絶滅の恐れがある県内の動植物の情報を掲載した「県レッドデータブック」を見直す方向で検討に入った。2004年度の策定から約10年が経過し、希少な動植物の生息状況や個体数の変化に対応するため。富士山の世界遺産登録や南アルプスのエコパーク登録などで環境意識が一層高まる中、データは市町村が自然環境の保全策を進める上で基礎資料として活用される。県は動植物の分類方法などを検討し、数年かけて実態を調査した上で改訂する考えだ。

 県レッドデータブックは外来種を除き、もともと山梨に生息する在来種が対象。02~04年度の調査に基づき初めて作成した。確認された個体数や分布状況を踏まえ「絶滅種」から、県内では絶滅の危険性は低いが全国的に分布が限られる「要注目種」まで9段階に分類した。

 現在は県内在来種の全2933種のうち628種(21・4%)を掲載。「絶滅危惧1A類」(ごく近い将来に野生種絶滅の危険性が極めて高い)に動物ではライチョウやイヌワシなど、植物ではタカサゴソウやホテイアツモリなど、昆虫ではハッチョウトンボなど計128種を挙げた。

 県みどり自然課によると、この10年で気候変動や大規模開発など動植物の生息に変化を与える要因があったほか、富士山の世界遺産登録などを受けて環境保全の重要性も高まっている。また、他県でもレッドデータブックを10年程度で見直しているため、山梨県も改訂が必要と判断した。

 前回作成時は、大学教授らを交えた委員会を設置し、3年かけて調査。県は今後、有識者の選定や動植物の分類基準、完成までのスケジュールなどの検討を進め、準備が整い次第、調査に入る考えだ。

 一方、県は希少野生動植物の保護に関する県条例で、保護すべき動植物22種を指定。捕獲や採取、殺傷を原則禁止し、違反者への罰金規定なども設けている。県レッドデータブックの改訂後、現状に合わせ指定種も見直す予定だ。

 県みどり自然課は「掲載内容と現在の希少動植物の生息状況が乖離かいりしている恐れがあり、改訂準備を進める」としている。

 (山梨日日新聞 2014年9月8日付)

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