2014.9.02 News /

アヤメ保護網増設へ シカ食害防止に効果 南ア・櫛形山 自生、3年で18倍

  南アルプス市などは11月、櫛形山で、アヤメ群落をシカの食害などから守るための防護ネットの設置箇所を増やす。防護ネット内ではアヤメの自生本数が3年間で約18倍に増加。効果が挙がっていることから、南アルプスの国連教育科学文化機関(ユネスコ)の生物圏保存地域「エコパーク」登録を機に、裸山エリアの1万平方メートルを新たに防護ネットで囲う。

 櫛形山は、適切な保護、管理をしながら、環境教育、調査研究活動や観光、レジャーに利用できるエコパークの「緩衝地域」に位置する。

 櫛形山はかつて「東洋一」と呼ばれるアヤメ群生地として知られ、市みどり自然課によると、1985年には約3千万本が咲き誇り、草原一面が花の紫色で染まり、ハイカーの目を楽しませていた。しかし、ニホンジカやイノシシの食害や踏み荒らしによってほとんどのアヤメが咲かなくなっていた。

 市は2007年に専門家らで立ち上げた「櫛形山アヤメ保全対策調査検討会」と協力して、野生動物の侵入を防ぐ防護ネットの設置を始めた。ネットは現在、櫛形山の裸山、アヤメ平エリアでアヤメの群落を囲うように約7万1千平方メートルの範囲に設置。11月からは、新たに裸山エリアの登山道沿いをネットで囲う。作業は、ボランティアや市職員で行う。

 防護ネットを設置した範囲のアヤメの自生本数は、本格的に観測を始めた10年は25本だったが、13年には461本に増えた。同課は「防護ネットの効果がはっきりと表れている。エコパークに登録された南アルプスの自然を守るための活動を続けていきたい」としている。

 (山梨日日新聞 2014年9月2日付)

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