2014.7.12 News /

南甘利山のクリンソウ5年で半減 群生地再生へ株分け 南ア・山友会 エコパーク登録で計画

 南アルプス市と市内の林業従事者らでつくる「山友会」(名取栄一会長)は、南甘利山で、ニホンジカの食害などの影響で数が減少しているクリンソウの株分け作業を始めた。同山を含む南アルプスが国連教育科学文化機関(ユネスコ)の生物圏保存地域「エコパーク」に登録されたことから、貴重な群生地を再生させようと計画した。

 クリンソウはサクラソウ科の一種で、山あいの湿地などに自生する。花を輪状に、数段にわたって付けることが名前の由来とされる。県のレッドデータブックでは、絶滅する危険性が増大している、絶滅危惧2類に指定されている。

 市みどり自然課によると、南甘利山山麓の清良平付近はかつて、見頃のシーズンになると、2千株の赤や白、ピンクの花で埋めつくされ、ハイカーや写真愛好家などに親しまれていた。しかし、ニホンジカの食害や盗掘の被害を受け、5年前から数が減り始め、現在では半減したという。

 3日に行われた作業には市職員、山友会のメンバー約40人が参加し、近くの群生地から株分けした約千株を植えた。

 名取会長は「多くの人に楽しんでもらうため、今後も活動を続け、群生地域を再生したい」と話している。

 【写真】南甘利山でクリンソウの株分け作業をする参加者=南アルプス市須沢

(山梨日日新聞 2014年7月11日付)

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