2016.8.16 News / その他 /

山岳救助にGPSの力 県警「過信せず安全登山を」

 山梨県警が7月に運用を始めた、衛星利用測位システム(GPS)を用いた山岳遭難者の救助が11日までに5件に上った。システムを利用すれば遭難者の位置を正確に把握することができ、従来は捜索開始が翌日になっていたケースも通報と同日の救助が可能になった。遭難事故が後を絶たない中、県警は「遭難者の早期救助に大きな力になる」と効果を強調。一方、今年1~7月の遭難者のうち、登山届を提出していた登山者は2割程度にとどまるのが実情。同課は「新システムによる救助を過信せず、登山計画を作り、安全な登山を心掛けてほしい」と求めている。〈渡辺浩人、仲沢篤志〉

 7月31日、早川町の笹山。トレイルランニング中の女性(44)が行方不明になり、同行していた登山仲間から県警に救助要請があった。女性の携帯電話はつながらなかったが、約8時間後、県警が送信したメールに気付いた女性が110番。女性は県警の指示に従い、スマートフォンから位置情報をメール送信した。

 110番は午後7時ごろで、すでに日没を迎えていた。システムがない従来なら「女性にその場を動かないよう伝え、翌日以降に捜索していたケース」(県警地域課)。しかし、GPSの情報から女性が登山口付近の登山道にいることが分かり、県警はそのまま下山するよう促し、捜索隊は登山道を登って約15分後に女性と合流した。

 GPSを活用した救助システムはスマホの位置情報を利用。遭難者が専用ホームページからメールを送ると、位置情報が県警に届く仕組みだ。システムの導入前、県警は口頭で遭難した場所に関する情報を聞き取り、遭難者の携帯電話の電波を捉えた基地局から大まかな位置を割り出していた。基地局からの情報は遭難場所を数キロの範囲でしか特定できなかったが、GPSの活用で「ほぼピンポイント」(同課)での把握が可能になった。

 導入以降8月11日までの県内の山岳遭難は33件発生。スマホを持っていない遭難者や遭難位置の特定が不要だったケースを除き、システムを活用したのは5件。いずれもGPSで位置を特定し、早期救助につながったという。

 一方、1~7月の山岳遭難72件のうち、登山届を提出していたのは16件で、提出率は22・2%にとどまっている。同課は「安全な登山をするためにも登山届や計画の作成は重要。登山がいい思い出になるよう、準備をしっかり整えてほしい」と話している。

 (山梨日日新聞 2016年8月14日付)

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