リニア新幹線 南アのトンネル地質調査着手 JR東海 早川・新倉で28日に

 リニア中央新幹線(東京-大阪)計画に絡み、JR東海は14日、早川町の南アルプス(赤石山脈)で行う水平ボーリング調査を28日に始めると発表した。3月には長野・大鹿村でも調査に着手し、双方で南アルプス山中を各3キロ掘削する。ボーリングの開始地点は早川町新倉であることも判明。調査地域はトンネル両端の有力な候補地とみられる。

 JR東海によると、ボーリング孔(こう)は直径約10センチで、地層や断層、地下水などの状況を調べる。国への調査報告に備え、奥行き3キロのうち1キロ地点までは年内に掘削を終える予定。ボーリング孔と並行し、高さ約5メートルの作業坑も2キロほど掘り進む。早川町新倉の民有地では現在、準備作業が進められている。

 同社はボーリング調査と、過去に中部電力などが行った導水路の施工記録などを照合し、南アルプスの地質がトンネル開削に適合するか判断する考え。リニア計画は大都市圏では地下走行を想定しているため、都内や名古屋市などの地下の調査も行う。

 横内正明知事は14日、「調査が円滑に進むよう、県有林の利用や県道交差の協議などに最大限協力する」とのコメントを出した。

 JR東海は首都圏-中京圏のリニア営業線の建設費について、ほぼ直線の全長約290キロのルートを前提に試算。松本正之社長は14日の記者会見で直線ルートを「(企業)体力の中でぎりぎりやれるだろうという、最もコストの安い設定」とした上で、「年内に必要なデータを整理し、次の手続きに進みたい」と話している。

【写真】ボーリング調査に向けて準備作業が進められる現場付近=早川町新倉

(2008年2月15日付 山梨日日新聞)

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