櫛形山アヤメ群落 株数激減の原因調査 南ア市方針固める 保護対策も検討

 南アルプス市は来年度から2年間、櫛形山(同市、増穂町)のアヤメ群落で株数が激減した原因を突き止める調査事業に乗り出す方針を固めた。現状で減少原因の可能性が指摘されている野草の繁茂やシカの食害の影響を把握するため、除草したり柵を設置して生育状況を調べる。今年10月には有識者による検討会を立ち上げ、抜本的な保護対策も協議していく。

 アヤメ群落は、櫛形山のアヤメ平と山頂北側の裸山に広がり、生育本数はこれまで3000万本とされてきた。ところが、減少の指摘を受けていた市が今年7月に現地確認したところ、花を咲かせていたアヤメはわずか30株ほどで、深刻な状況が明らかになった。

 市みどり自然課によると、調査は2008-10年度にアヤメ平と裸山の2カ所で実施。(1)現状のまま生育(2)秋にアヤメの成長に影響を与えるとされるハンゴンソウやタムラソウなどの野草を刈り取る(3)高さ2.5メートル程度の柵を設ける(4)柵を設けた上で秋に除草する-の4つの生育ゾーン(各100平方メートル)を設ける。今年11月にも県と連携して整備する。

 調査と並行して有識者による検討会を同10月ごろ設置。市や県、学識者や自然保護活動に取り組む市民団体メンバーが、調査結果を踏まえながら効果的な群落の保護策について検討していく。

 同課は「古里の自然を守る機運を高めるきっかけにし、地域住民にも保護活動を広げていきたい」としている。市は九月定例市議会に提出する一般会計補正予算案に調査費など約90万円を計上する方針。

(2007年9月7日付 山梨日日新聞)

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