櫛形山のアヤメ群落 20年間で6割減少 巨摩高で第1回シンポジウム 現状を報告、将来像考える

 アヤメの群落がある櫛形山(南アルプス市、増穂町)の自然環境について考えようと、櫛形山自然環境保全協議会は25日夜、巨摩高で第1回櫛形山シンポジウムを開いた。人の手を入れてアヤメ群落を保護すべきかといった櫛形山の将来像を探る議論のきっかけとするのが目的。専門家からはアヤメの株数が20年間で約6割減ったとの調査結果が報告された。

 県内外から約50人が参加。県民の森・森林科学館の石原誠さんが過去と現在の櫛形山の様子を写真で紹介し、今年行ったアヤメ群落の実態調査で20年前に比べて株数が約6割減少したことなど自然環境の変化を指摘した。

 さらに、将来像を考える上で過去から現在までの櫛形山と人とのかかわりを知ろうと、戦後櫛形山の植林などに従事した増穂町平林の深沢謹雄さん(85)を招き、櫛形山について話を聞いた。参加者からも牧場の存在や大量のカラマツの植林、アヤメ群落の周辺で青年団による下草刈りが行われていたことなどさまざまな証言があり、櫛形山の環境に多くの人の手が加えられてきたことが報告された。また、巨摩高自然科学部の生徒が今年実施した櫛形山のトンボの生息調査や植生調査の成果を披露した。

 同協議会は今後も議論を続けていく考えで、石原さんは「まずはさまざまな考えを持つ人が同じ場に集まったことが成果。櫛形山の多様な生態系全体を考えた議論を続けていきたい」と話していた。

【写真】櫛形山の将来像について考えたシンポジウム=巨摩高

(2006年11月27日付 山梨日日新聞)

月別
年別