北岳の標石100年ぶり一新 国土地理院 地元要望受け来月交換 「三角点」の歴史展示も

 南アルプス市の北岳(3,193メートル)山頂付近の3等三角点「白根岳」に設置されている標石が、約100年ぶりに新しくなる。富士山に次いで2番目に高い位置にあり、標高改定までは北岳の最高地点とされてきた白根岳。標石は老朽化し、今にも倒れそうな状態という。測量技術の進歩などで三角点としての役割はほぼ終えているものの地元からの復旧を望む声を受け、国土地理院が7月上旬にも新しい標石に交換する計画を進めている。

 三角点・白根岳は、北岳の標高3192・4メートルの地点に位置する。1904(明治37)年に旧日本陸軍参謀本部の測量士吉村武雄によって設置され、既に102年が経過している。

 厳しい自然環境の影響で、標石は角が丸くなり、固定されていた地盤からも簡単に抜けてしまう状態。標高改定時に、調査に訪れた国土地理院の職員が倒れた標石を見つけ、固定し直したこともあった。

 花こう岩でできている標石は約20センチ四方、高さ約80センチ、重さは約60キロ。今回は標石を交換し、コンクリートと鉄くいで盤石に固定する。

 作業には地元のNPO「芦安ファンクラブ」が協力。「当時の測量登山の苦労を引き継ぎたい」と、ヘリコプターで中腹まで運んだ後、会員が交代で背負って山頂を目指す計画だ。

 役割を終えた現在の標石について国土地理院は「多くの人の目に触れる場所に展示することを検討している」としている。

(2006年6月16日付 山梨日日新聞)

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