2006.6.10 News / 登山 / 人物・団体 /

「南アルプスを世界遺産に」 南ア市が方針 3県10市町村連携へ

 南アルプス市は9日、山梨、静岡、長野三県にまたがる南アルプスについて、関係市町村と連携して世界自然遺産登録を目指していく方針を決めた。年内に3県の10市町村による準備会を発足させる計画。来年には連絡協議会を設立、学術調査など本格的な推進活動に乗り出し、国など関係機関に働き掛けていく考えだ。市は6月定例市議会に提出する本年度一般会計補正予算案に推進事業費30万円を計上する。

 南アルプスは2003年、国の検討会による世界自然遺産の候補地選定から、富士山とともに落選した経過がある。富士山に関しては現在、山梨、静岡両県が連携して文化遺産登録に向けて活動している。これに対し、南アルプスではあらためて自然遺産への登録を目指すことにした。

 南アルプス市は、静岡市から強い働き掛けを受けたこともあり、関係市町村との連携を進めていくことにした。既に県内の韮崎、北杜、早川の3市町から準備会参加の了承を得ているという。

 今後は静岡市と連携し、南アルプス国立公園を抱える静岡県川根本町、長野県の飯田市、伊那市、富士見町、大鹿村に準備会発足を呼び掛ける。県内ではこのほか、近隣の増穂、鰍沢、身延の3町へも働き掛けるという。

 南アルプスは前回、キタダケソウなど多様な植生や固有種が評価されたが、動植物の近縁種や同一種が近隣地域にも見られることがマイナス要因となった。連絡協議会では、これらの指摘をクリアできるか、学術調査などを通して検討する。

 石川豊市長は「南アルプスには高山植物の固有種が多い。自然の損傷も少なく、自然遺産にふさわしい環境。登録によって、現在の自然環境の保全につなげることができる」と期待する。

(2006年6月10日付 山梨日日新聞)

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