2004.6.17 News / 祭り・イベント /

白簱史朗山岳写真展 国内外の「心の山」 100点 8月2日から県立美術館

 黒い岩肌を露出し、夏のさわやかな空気感に包まれる北岳。夕月の光が照らす静かな夜に独りたたずむエベレスト。山肌を真っ赤に焼かれながら夜の闇に沈みゆくトレ・チメ・ディ・ラバレド。研ぎすまされた感性と高度な技術によって写真に収められた山々は、圧倒的な力で見る人を失われつつある大自然の中へと包み込んでゆく。

 大月市出身の山岳写真家・白簱史朗さんの写真展「白簱史朗 日本と世界の名峰を讃(うた)う」が八月二日から、甲府・県立美術館で開かれる。

 白簱さんは一九五一年から写真の道に入り、六二年に独立。以降、南アルプスを中心に富士山、北アルプス、尾瀬など日本各地の山々を精力的に写真に収めているほか、六六年からはヒマラヤ、アフガニスタン中部ヒンズー・クシュ山群など世界の名峰にも遠征し、撮影を続けている。また、近年ではあらたに「富士山」シリーズや「日本百一名山」などの大作に取り組むなど七十歳を迎えた現在もなお第一線で活躍し、雄大かつ神秘的な作品を発表、国内外で高い評価を受けている。

 今展では南アルプス、富士山、尾瀬などの国内四エリアと、ネパール・ヒマラヤ、ヨーロッパアルプス、アンデスなどの海外四エリアの、未公開を含む山岳写真約百点と、実際に撮影に用いたカメラなどの機材を一堂に展示。白簱さんの半世紀以上にわたる活動の軌跡と、苦難の道のりを経てたどり着いた数々の「心の山」を展観できる、見応えのある作品展となる。

 白簱さんは「集大成とか決定版というものではなく、一つの過程として見てもらいたい。私の写真を見て、自然の美しさ、雄大さを感じ、自然を愛する心を取り戻してほしい」と話している。展示は九月十五日まで。

 当日入場料は一般1000円、大高生500円、小中学生260円(前売りには割引あり)。毎週土、日曜日には白はたさん本人が在廊するほか、8月8日午前10時と午後2時からは、白はたさんによるギャラリートーク、10日午後2時からは、「山 わが生きる力」と題して講演会が開かれる。いずれも聴講無料。

 (山梨日日新聞 2003年7月30日付)

月別
年別