更新日:2017年12月25日
アマゴの里よみがえれ 芦安の有志が計画

 南アルプス市芦安地区の住民有志は、地元の御勅使川にアマゴを復活させようと、自宅でふ化させた稚魚を放流する取り組みを始める。過疎化が進む同地区は住民が300人台で、ふ化という共通の目的で連帯感を強め、成長したアマゴを使った活性化を目指す。富士川流域から駿河湾へ下ったアマゴは、遡上するとサツキマスとして希少価値が高まるため、堰堤に魚道の設置を行政に働き掛けることも検討している。

 20日、同市芦安芦倉の温泉旅館「白雲荘」に住民や市職員ら6人が集まり、試験放流するためのアマゴの稚魚を受け取った。体長2センチほどの約500匹が飼育用の木箱を泳ぎ回る様子を観察。御勅使川の水質が生育環境に合うかなどを調べることを確認した。

 木箱を管理するのは同旅館の店主伊東隆雅さん(65)。昭和40年代ごろまで御勅使川に多く生息し、ほかの川魚とともに住民の貴重なタンパク源だったアマゴを復活させ、地域を盛り上げようと発案。来年、小中学生を含めて希望者を募り、それぞれが自宅でふ化に挑む計画を立てた。

 同市によると、南アルプス山系の玄関口に当たる芦安地区は2015年の人口が328人で、ピーク時(1960年)の1161人の3割に満たない。伊東さんは「コミュニティーを維持するためには若い人が住み続けたい、戻ってきたいと思える環境が大切」と話す。

 サポートするのは、富士川町平林でアマゴなどの養殖場を営む秋山富一さん(65)。稚魚の提供のほかにふ化や飼育の方法を助言する。富士川にサツキマスを増やす活動をするグループのメンバーで、将来は芦安地区との連携もしていく。

 同市芦安窓口サービスセンターによると、アマゴは治水事業による堰堤の建設などで激減。復活すれば釣り客の増加が見込め、郷土料理の食材としても期待できるという。

 伊東さんらはサツキマスとしての遡上も期待する。秋山さんによると、海で小魚などを捕食し、体長はアマゴの成魚の2倍近い30センチ以上になるという。芦安地区まで戻れるように、魚が移動できる魚道の設置も専門家と模索する。

 伊東さんは「放流活動を通して、年齢にかかわらず住民の連帯感を強めたい。お客さんにアマゴ復活のストーリーを話しながら、旅館で料理を提供できる日が楽しみ」と夢を膨らませている。

 【写真】木箱にアマゴの稚魚を移す伊東隆雅さん(左)ら=南アルプス市芦安芦倉

 (2017年12月25日付 山梨日日新聞)