南アルプス芦安山岳館/イベント・お知らせ


 ■登って 眺めて 味わって
 8月11日は「山の日」。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを目的に制定された国民の祝日で、今年で3回目。富士山や南アルプス、八ケ岳などの名峰を擁する山梨は、全国有数の山岳県だ。山上の絶景、山小屋の「推しメニュー」−。「山の楽しみ方」をガイドする。
◆【展望】 天空のビーチ 日向山(北杜)
日向山(雁ケ原) 日向山(空撮)
【写真左】日向山の雁ケ原を歩く登山者。左奥は八ケ岳。【写真右】上空から見た日向山。花崗岩が風化してできた真っ白な砂が、森林を侵食しているように見える=山日YBSヘリ「ニュースカイ」(NEWSKY)から
日向山(地図)
 北杜市の日向山(1660メートル)の山頂近くにある雁ケ原は、花崗岩が風化してできた「白い砂浜」が広がる。

 ルートは麓の尾白川渓谷駐車場から登って矢立石登山口に入り、おおむね3時間。林に囲まれた登山道から一気に展望が開ける。晴れた日は裾野をのばした八ケ岳や鞍掛山、甲斐駒ケ岳の大パノラマが待っている。

◆【山小屋グルメ】 広河原山荘 アイスプレート登場
広河原山荘
 標高1530メートルに位置し、北岳を目指す登山者でにぎわう。野呂川の清流と鳥の声を聞きながらの食事は格別だ。

 県産の旬野菜を使った「ベジカレー」(1300円)=写真右上=が人気。カボチャ、ナス、ズッキーニ、パプリカ、ゴーヤなどを素揚げし、ルーにはトウガラシや蜂蜜、コーヒーなどを混ぜ合わせている。

 今季からデザートも登場。「アイスプレート」(700円)=写真右中=は、白桃とミルク味のジェラートに桃のコンポートやグラノーラを添えた。

 管理人の塩沢顕慈さん(38)は「登山をしない方も大歓迎。大自然という非日常的な環境で食事を楽しんでほしい」と話している。

 【メモ】広河原山荘=写真右下=南アルプス市芦安芦倉野呂川入西方1684。車の場合は市営芦安駐車場に駐車し、バスか乗り合いタクシーで広河原へ(約1時間)。甲府駅〜広河原間の往復バスも運行。(電話)090(2677)0828。フェイスブックやラインのアカウントで登山情報を発信中。

◆【安全登山の心構え】 「困難が潜む」を認識 登山届も行程の一つ
 アウトドア人気に伴って増えているのが山岳遭難事故。山梨県内で2017年に発生した事故件数、遭難者数はいずれも過去最多を更新した。県警に本年度新設された山岳警備安全対策隊の志村一隊長は、天候や体調が変化した際の臨機応変さと、登る前の備えの大切さを説く。

 17年に県内で起きた山岳遭難事故は161件、遭難者数は180人に上った。達成感や美しい風景を求めて安易に山に入る人が目立つといい、「登りたい山と登れる山は違うことを認識してほしい」と呼び掛ける。

 事故の形態をみると、半数以上が滑落、転落、転倒で、遭難者の3割以上が65歳以上の高齢者。「体力、集中力が低下する下山中が多い」と指摘。道迷いは低山でも起きていて、迷った後に滑落などにつながるケースもあるという。

 5月には新潟・五頭連峰で親子2人が遭難し、死亡する事故があった。「道に迷ったらむやみに動かず、一度落ち着いてコンパスや地図、スマートフォンの地図アプリなどを使って現在地を確かめてほしい」

 登山は無事に下山してこそ。山の天候、自らの体調の把握が大切だ。山には困難が潜んでいることを自覚した上で、行程途中の登山断念も念頭に置いた対応を促す。

 安全登山へ、登る前の準備が最重要。今年上半期に起きた山岳遭難39件のうち、登山届が出ていたのは2件だけ。「登山届を準備することは、ルートの確認や、事故を起こさないという責任感を持つことにつながる」。雨具や予備の飲食料、万が一の際の通信手段となる携帯電話の携行を呼び掛ける。
2018年8月11日付 山梨日日新聞掲載 『「山の日」特集』から