南アルプス芦安山岳館/イベント・お知らせ


 ■【南アルプス臨時支局】<南ア一期一会>「広河原山荘」2代目、塩沢顕慈さん
くつろぎの空間提供

南アルプスへの思いを語る塩沢顕慈さん=南アルプス・広河原
南アルプスへの思いを語る塩沢顕慈さん=南アルプス・広河原
 南アルプス北部の登山拠点・広河原にある「広河原山荘」(標高1530メートル)は、2代目の塩沢顕慈さん(35)が切り盛りしている。幼少期から山小屋に通い、なじみ深い場所だった南アルプスは「出掛ける所ではなく帰る所」。登山者にくつろいでもらえるよう、アットホームな落ち着ける空間を提供している。

 山荘が建てられたのは1985年。初代管理人となったのが現在、南アルプス芦安山岳館長を務める父・塩沢久仙さん(72)だった。旧櫛形町出身で、幼少のころから母裕子さん(66)に付き添って小屋に通い、山は「遊び場」(顕慈さん)だった。

 中学校時代に山小屋で仕事がしたいと考えるようになった。3人きょうだいの末っ子で、兄と姉は県外に出るなどして別の道を進んだが、父が情熱を注いだ山小屋の道を選んだ。県内の調理師学校に通うなどして料理の腕を磨き、20歳から小屋で働き始め、26歳のときに後を継いだ。

 小屋は6月中旬〜11月初旬に営業。登山者がピークとなる7〜8月には従業員8人態勢で、1日に300人ほどが訪れることもある。広河原という立地から、宿泊よりも食事提供が中心。仕入れ先の開拓からはじめ、地元産野菜を使うなどしたこだわりの「広河原ベジカレー」「甲州ワインビーフ丼」などは小屋の定番となった。

 遭難者の救助に携わる顕慈さんが近年、気掛かりなのが遭難者の増加だ。「昔に比べ、基礎的な知識や体力がない登山者が増えている」と、その原因を分析し、「山の厳しさを十分に理解してから入山してほしい」と呼び掛ける。

 「小屋を運営する者としては、指導よりもねぎらいの言葉を掛けたい。安全に南アルプスを楽しんでもらうために、これからも責任を果たしていきたい」
2015年7月29日付 山梨日日新聞掲載