南アルプス芦安山岳館/イベント・お知らせ


 ■連載・エコパーク登録 南アルプス新時代 [3]
世界遺産と認知度に差 集客増への期待周知が鍵

  「想定よりだいぶ少ないな」−。4月19日、早川町民会館で地元住民を対象に初めて開かれた、南アルプスの国連教育科学文化機関(ユネスコ)生物圏保存地域(エコパーク)の説明会で、参加者の少なさに同町振興課の望月司さんは驚いた。加盟自治体では最初の説明会ということもあり、町では住民だけで60人ほどの来場を想定していたものの、集まったのは約20人。担当者から一通りの説明が終わった後に、質疑の時間を設けたが、住民からの質問はなかった。

ユネスコエコパークの説明を受ける住民ら=早川町民会館
ユネスコエコパークの説明を受ける住民ら=早川町民会館
 県内の関係市町の中には、登録を観光客増などの振興につなげたいとの考え方もあり、エコパークの認知度の低さは登録前からの課題となっている。南アルプス世界自然遺産登録推進協議会ユネスコエコパーク登録検討委員会の増沢武弘委員長は「今回の登録が地域発展につながるかは、住民にどれだけ浸透するかにかかっている」と指摘する。

独自のロゴマーク

 ただ関係4市町の住民からも「名前は聞いたことはあるけれどよく知らない」「富士山の世界文化遺産登録に比べると話題性がなく、活性化につながるとも思えない」との声は少なくない。北杜市の「白州・尾白の森名水公園べるが」の担当者は「エコパークの認知度が低く、富士山の世界文化遺産登録のように直接的な観光客の増加は期待できない」と漏らす。

 2012年7月にユネスコエコパークに登録された宮崎県綾町の「綾」でも、登録後に観光客が大幅に増えているわけではない。同町エコパーク推進室によると、登録前年の11年の観光客は75万人、12年が81万人で、13年は86万人と増えてはいるが、「期待していたほどではない」という。同町では今後住民レベルでの協議会の設置や独自のロゴマークを作り、周知を進めることを検討している。担当者は「すぐに観光客を増やすのはなかなか難しい。少しずつ周知を図って浸透させていく必要がある」と話している。

 関係市町の中でも早川町は、顕著な人口減少が続いているため、エコパーク登録をアピールの大きなチャンスとし、住民らへの周知にも積極的だ。登録を受け、秋までに職員や有識者で協議会を立ち上げることを決めた。協議会では自然の保全や住民への周知の方法を話し合うほか、南アルプスを巡るツアーも検討していく。同町の担当者は「まだ周知がしっかりとできていないからこそすぐに行動を起こす必要がある」と話す。

静岡、長野と協力

 一方、韮崎市は広報紙で特集を組むなどして住民への周知を図っていくとしているが、市独自の協議会の設置などはなく、具体的な活動は決まっていない。同市商工観光課の担当者は「今のところ大きな事業はなく、すぐに何かするというわけではない。今後少しずつ展開していく」とする。対応には市町村によって濃淡がある。

 また、3県10市町村は、エコパーク登録を世界自然遺産への前段階と捉えており、今後はそれぞれ県全体で浸透させ、機運を盛り上げることが課題となる。早川町の辻一幸町長は「世界遺産とエコパークは知名度に差があることは間違いない。山梨県だけでなく、静岡、長野両県とも協力して政策を打ち出すなどし、知名度も上げていかなければならない」と力を込めた。

国内のエコパーク
 1980年に「志賀高原」(群馬、長野)、「白山」(石川、岐阜、富山、福井)、「大台ケ原・大峰山」(奈良、三重)、「屋久島」(鹿児島)、2012年に「綾」(宮崎)の5カ所が登録された。今回、南アルプスとともに只見(福島)が新規登録され、計7カ所に。綾は東アジアの照葉樹林の北限付近にあり、ニホンカモシカやクマガイソウなど日本固有種の動植物が多数生息、生育している。
2014年6月17日付 山梨日日新聞掲載